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過去25年間での森林面積の変化
世界の森林及び森林経営については過去25年間で大きく変化し、全体的に見るといくつかの進展があった。人口の増加、食料や土地に対する需要の拡大等により世界の森林面積は減少を続けているが、その速度は50%以上低下している。持続可能な森林経営に対する関心が高まっており、より多くの土地が永久林地として指定され、より着実に調査・評価・報告・計画作成が実施され、森林の管理経営に対する関係者の関与も高まり、また、世界各国において持続可能な森林経営のための法的枠組が構築されつつある。さらに、森林が供給する財やサービスへの高まる需要を満たす一方、生物多様性の保全のための地域に指定される森林の面積が増加している1)。
しかしながら、効果的な動機や執行の伴わない施策や規制、非持続的な森林施業、林地の転用が引き続き存在するなど課題も残されている。世界の森林面積を把握するために広く用いられている世界森林資源調査(Global Forest Resource Assessment: FRA)によると世界の森林面積は1990年の41.28億haから、2015年には39.99億haに減少した(森林率では31.6%から30.6%に減少)。なお、森林面積の変化は植林等による森林の増加と森林が伐採され、農地等に転用される過程である。この25年間において減少した1.29億haの森林面積は南アフリカの国土面積に匹敵する。
森林増減の状況とその理由
森林減少の速度は1990年代の年率0.18%から、2010年から2015年までの最近5年間においては0.08%にまで低下しており、(760万haの減少と430万haの増加の差で年間の正味の減少面積は330万haである。大規模な森林減少が起こっているのは熱帯、とりわけ南米とアフリカであるが、最近5年間ではこれらの地域における森林減少速度も大幅に低下している。特に、南アメリカ、アフリカなどの熱帯の森林を中心に、減少面積が大きくなっている。一方、中国や インド、ベトナムを中心とした温帯林では、森林面積 が増加している国も見られ森林面積の増加と減少には、地域的な偏りが見られます。 国別にみると、2000年から2015年まで間に森林の減少が大きかったのは、ブラジル、オーストラリア、インドネシア、ナイジェリアなどである。こ の う ち、オースト ラ リ アの減少は 、2000年以降の深刻な干ばつや森林火災などが原因だが、ブラジル、インドネシア、ナイジェリアなどその他の国では農地への転用や燃料用の薪の過剰採取などが原因である。 特にアフリカでは木材需要の約9割が燃料として使用されており、人口増加に伴い、森林減少が進んでいる。
一方、温帯地域の中国やインド、ベトナムなどのように、植林活動が活発なため森林面積が増加しているのも見られる。 世界の天然林面積は37億haで全森林の93%を占めているが、最近5年間では正味で年間650万ha減少している。1990-2000年における純減は年間1,060万haであった。世界の人工林面積は1990年に比べて1億500万ha以上増加している。なお、年間の増加面積は2000-2005年に590万haでピークを迎え、最近5年間では、東アジア、欧州、北米、南・東南アジアでの植林の減少に伴い、330万haとなっている。下記表1に世界の森林面積の推移を示した。
木材生産量は1990年から2011年にかけてわずかに増加したが、特に発展途上国では薪炭材への依存度が高いままである。なお、2011年の木材生産量は30億m3で、内15億m3が薪炭材向けである。主に木材生産を重視する森林及び多目的の利用を重視する森林の面積が世界の森林面積に占める割合は、2015年においてそれぞれ31%、28%となっており、1990年からは、前者が1,340万haの微減、後者は 3,750万haの減少を示している。生物多様性の保全を主な目的として指定されている森林及び水土保全を目的として指定されている森林の面積が世界の森林面積に占める割合は、2015年においてそれぞれ13%及び31%となっており、ともに1990年から増加している。森林バイオマスの炭素蓄積量は、森林の転用や森林劣化等によりこの25年間で約110億トン減少している。世界の森林面積の96%が持続可能な森林経営を支援する政策や法令の対象となっている。2014年現在で112カ国が国家レベルの森林調査は継続中であると報告しており、そのほとんどが最近5年間にデータが更新されたものである。2010年までに世界の森林面積の半分以上において管理経営のための計画が作成されている。主に木材生産を重視する森林と保全を重視する森林の面積がほぼ半々となっており、また、水土保全に関する内容を盛り込んだ計画の森林面積が全体の半分以上を占める。
森林の持続性指標は持続可能な森林経営に関する進展について調査・評価を行い、幅広い関係者に報告するための一貫した手法を提供する科学に基づく計測手段であり、森林の健全性を維持・向上させるために森林施業をどのように変更させる必要があるかを特定する上でも有用である。国連の持続可能な開発目標(SDGs)に向けた進展を把握するための森林関連の指標にも寄与世界の森林面積は約40.3億ヘクタールで、全陸地面積の約31%を占めている。しかし、世界の森林は減少を続けており、毎年520万ヘクタールが減少している( 2000 年 か ら 2015 年 ま で の 平 均 )。下記図2に1990年と2015年を比較した森林面積の正味の増減を示した。
森林減少の影響について
沢山の生物が暮していける豊かな環境と生物には欠かせないのは森林が作り出す酸素である。よって自然のジャングルや森には、様々な種類の植物や動物で構成された生態系があり、その中を通る川や地下水によって酸素を多く含んだ栄養分豊かな水が海へと流れ込む。海では陸地からの栄養分と酸素が様々な生物の生態系を助ける。海上では、雨を含んだ雲が生まれ、地球上の熱をコントロールしながらやがて雨や雪となって森林を潤す。森林と海の循環機能は地球上の温度と大気のバランスを保ってくれる炭素吸収源であり、大切な浄化システムとなっている。このシステムの機能が弱り、温暖化が進行する。地球のコントロールシステムでもあり、防衛機能でもある森林や海洋循環システムが、現在その力を急速に失っている。ここ数年、異常気象、生態系の破壊、地球温暖化、洪水、干ばつ、砂漠化など自然災害の増加などが起きている。その原因は、森林破壊や環境汚染など、人間が作り出している現在の地球環境である。特に温暖化は、地球の歴史上でもあまりにも急激に短期間で気温が上昇しているため、大変深刻な状況となる。
森林減少への日本国の取り組み
世界の森林は減少を続けており、地球規模の環境問題となっている。森林減少を抑制するためには、持続可能な森林経営を実現する必要があり、その阻害要因の一つとして、当該国の法令等に違反して森林伐採が行われる「違法伐採」が指摘されている。日本国では、平成18年4月1日から、いわゆるグリーン購入法により政府調達の対象を合法性・持続可能性が証明された木材とする措置を開始している。違法伐採対策を一層推進するためには、グリーン購入法に基づく調達方針を、法律の対象である国等に留まらず、広く地方公共団体や民間調達にも普及させていくことが重要である。しかし、環境省が平成19年に実施した木材調達のグリーン化に関するアンケート調査によると、森林減少、違法伐採問題は、国民の皆さんの関心が決して高くなく、このことが企業等の取組を促す上での障害の一つとなっていると考えられる2)。そのため、今後継続して一人一人が森林減少への関心を高めていく活動が必要となる。
Changes in forest area over the past 25 years
Global forests and forest management have changed significantly over the past 25 years, with some progress overall. The world’s forest area continues to decline due to population growth and growing demand for food and land, but the rate is declining by more than 50%. Interest in sustainable forest management is growing, more land is being designated as permanent forest land, more surveys, assessments, reports and planning are being carried out more steadily, stakeholder involvement in forest management is increasing, and legal frameworks for sustainable forest management are being established around the world. In addition, while meeting the growing demand for goods and services supplied by forests, the area of forests designated as areas for biodiversity conservation is increasing1).
However, challenges remain, including policies and regulations without effective motivation and enforcement, unsustainable forest practices, and continued diversion of forest land. According to the Global Forest Resource Assessment (FRA), which is widely used to understand the world’s forest area, the global forest area decreased from 4.128 billion hectares in 1990 to 3.999 billion hectares in 2015 (from 31.6% to 30.6%). The change in forest area is due to the increase in forests due to afforestation, etc., and the process of cutting down forests and converting them to agricultural land. Over the past 25 years, the forest area of 129 million hectares has declined, which is equivalent to the land area of South Africa.
The rate of deforestation has declined from 0.18% per annum in the 1990s to 0.08% in the last five years from 2010 to 2015 (a net decrease of 3.3 million hectares per year due to a decrease of 7.6 million hectares and an increase of 4.3 million hectares). Large-scale deforestation is occurring in the tropics, particularly in South America and Africa, but the rate of deforestation in these regions has also slowed significantly in the last five years. In particular, the area of decline is increasing, especially in tropical forests such as South America and Africa. On the other hand, in temperate forests, mainly in China, India, and Vietnam, forest coverage is increasing in some countries, and regional biases are observed in the increase and decrease in forest area. By country, the largest deforestation between 2000 and 2015 was seen in Brazil, Australia, Indonesia and Nigeria. The decline in Austria has been due to severe droughts and forest fires since 2000, while in other countries, such as Brazil, Indonesia and Nigeria, it has been due to the conversion of agricultural land and the over-extraction of firewood for fuel. In Africa, in particular, about 90% of the demand for timber is used as fuel, and deforestation is progressing as the population increases.
About the impact of deforestation
Oxygen produced by forests is indispensable for a rich environment and organisms in which many organisms can live. Therefore, natural jungles and forests have ecosystems composed of various types of plants and animals, and the rivers and groundwater that pass through them flow nutrient-rich water rich in oxygen into the sea. In the ocean, nutrients and oxygen from the land help the ecosystem of various organisms. At sea, clouds containing rain are formed, which control the heat on the earth and eventually become rain and snow to moisten forests. The circulation function of forests and oceans is an important purification system because it is a carbon sink that maintains the balance between the earth’s temperature and atmosphere. The function of this system weakens, and global warming progresses. Forests and ocean circulation systems, which are both the control system and defense of the earth, are rapidly losing their power. In recent years, there has been an increase in natural disasters such as extreme weather, destruction of ecosystems, global warming, floods, droughts, and desertification. The cause of this is the current global environment created by humans, such as deforestation and environmental pollution. In particular, global warming is a very serious situation because the temperature is rising so rapidly in a short period of time that it has never been seen in the history of the earth.
Japan’s Efforts to Address Deforestation
世界の森林は減少を続けており、地球規模の環境問題となっている。森林減少を抑制するためには、持続可能な森林経営を実現する必要があり、その阻害要因の一つとして、当該国の法令等に違反して森林伐採が行われる「違法伐採」が指摘されている。日本国では、平成18年4月1日から、いわゆるグリーン購入法により政府調達の対象を合法性・持続可能性が証明された木材とする措置を開始している。違法伐採対策を一層推進するためには、グリーン購入法に基づく調達方針を、法律の対象である国等に留まらず、広く地方公共団体や民間調達にも普及させていくことが重要である。しかし、環境省が平成19年に実施した木材調達のグリーン化に関するアンケート調査によると、森林減少、違法伐採問題は、国民の皆さんの関心が決して高くなく、このことが企業等の取組を促す上での障害の一つとなっていると考えられる2)。そのため、今後継続して一人一人が森林減少への関心を高めていく活動が必要となる。
引用文献
1)世界森林資源評価(FRA)2015– 世界の森林はどのように変化しているか –(第2版) 概要http://www.rinya.maff.go.jp/j/kaigai/attach/pdf/index-2.pdf
2)環境省HP http://www.env.go.jp/nature/shinrin/index_1.html