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  • 生物の分類と不凍蛋白質

    以下は「生物の分類と不凍タンパク質を交えた魚類、爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類の違い」についての説明です。

    はじめに

    生物は進化の過程で多様な環境に適応するために、独自の特徴や機能を発展させてきました。その中でも「不凍タンパク質(AFP: Antifreeze Proteins)」は、極寒の環境下に生息する生物に見られる特異な適応機構の一つです。不凍タンパク質は主に魚類で発見されているものの、その他の生物群においても類似の役割を果たす物質が見られます。本稿では、魚類、爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類の分類や特徴に触れながら、不凍タンパク質との関係について考察します。

    1. 生物の分類

    動物界は大きく分けて、魚類、両生類、爬虫類、鳥類、哺乳類の5つのグループに分類されます。これらは進化の過程で環境に適応し、それぞれ独自の形態や生態を持っています。

    1-1. 魚類

    魚類は水中生活に適応した動物群であり、鰓呼吸を行うことが特徴です。多くの種が水中で泳ぎやすい流線形の体を持ち、うろこやヒレを備えています。魚類は冷血動物であり、体温が周囲の水温に依存します。

    不凍タンパク質と魚類

    魚類は極寒の環境で生息するために、不凍タンパク質を発達させました。特に南極や北極の海域に生息する魚類(例: 南極アイスフィッシュ)は、体内で不凍タンパク質を生成することで、体液の凍結を防いでいます。不凍タンパク質は氷の結晶の成長を抑制し、細胞や組織を凍害から守ります。

    1-2. 両生類

    両生類は水中と陸上の両方で生活できる動物群で、卵生であることが特徴です。幼生(オタマジャクシ)は水中で生活し、成長するにつれて肺呼吸が可能となり陸上生活に移行します。代表的な種にはカエルやイモリが含まれます。

    不凍タンパク質と両生類

    両生類は魚類ほど極端な寒冷地への適応は見られませんが、一部の種では細胞内の水分を凍結させないための糖類やタンパク質が確認されています。例えば、一部の北米のカエルは、冬眠中にグルコースや尿素を増加させて凍結を防ぐ仕組みを持っています。

    1-3. 爬虫類

    爬虫類は乾燥した環境に適応した動物群で、体が硬い鱗や甲羅で覆われています。主に肺呼吸を行い、変温動物であるため、周囲の気温に体温が左右されます。ワニ、ヘビ、トカゲが代表例です。

    不凍タンパク質と爬虫類

    爬虫類では、不凍タンパク質の直接的な生成は確認されていません。しかし、寒冷地に生息する種では、細胞膜の脂質成分を変化させることで、細胞内凍結を防ぐ適応が進化しています。これにより、寒冷地でも活動が可能です。

    1-4. 鳥類

    鳥類は恒温動物であり、羽毛を持つことが特徴です。高い代謝率を持ち、飛翔能力を有する種が多い一方、ペンギンのように飛翔能力を失い水中生活に適応した種も存在します。

    不凍タンパク質と鳥類

    鳥類は基本的に不凍タンパク質を生成しませんが、寒冷地に生息する鳥(例: 南極のペンギン)では、脂肪層や特殊な羽毛が体温を保持する役割を果たします。また、体液の凍結を防ぐための代謝調節も行われます。

    1-5. 哺乳類

    哺乳類は毛皮や皮下脂肪を持ち、母乳で子を育てることが特徴です。恒温動物であるため、広範な環境に適応しています。人間、クジラ、クマなどが代表例です。

    不凍タンパク質と哺乳類

    哺乳類では、不凍タンパク質の生成はほとんど見られません。ただし、寒冷地に住む種(例: シロクマやセイウチ)は、厚い脂肪層や密度の高い毛皮を持ち、寒さに対抗しています。一部の北極圏の哺乳類では、体液中のイオン濃度を調整することで凍結を防ぐメカニズムが研究されています。

    2. 不凍タンパク質の機能と進化

    不凍タンパク質は、魚類において特に進化が顕著ですが、その背景には南極や北極の過酷な環境が影響しています。以下では、不凍タンパク質の基本的な機能とその進化について詳述します。

    2-1. 不凍タンパク質の基本機能

    不凍タンパク質は、氷晶の成長を抑えることで、体液の凍結を防ぎます。これは、タンパク質が氷晶の表面に結合し、その成長を物理的に妨害するためです。また、不凍タンパク質は、生物の生存において以下のような利点をもたらします。

    • 凍傷による細胞損傷の回避

    • 低温環境での代謝維持

    2-2. 不凍タンパク質の進化

    不凍タンパク質は独立して複数回進化しており、魚類では少なくとも5つの異なる系統が確認されています。この進化は、遺伝子の重複や改変によって生じたもので、極寒地への適応として重要です。

    3. 生物群間の違いと不凍タンパク質の重要性

    魚類、爬虫類、両生類、鳥類、哺乳類は、それぞれ異なる生態や環境への適応を示しています。不凍タンパク質は、特に魚類でその重要性が高い一方で、その他の生物群でも寒冷地への適応として類似の役割を果たす物質や機構が進化しています。

    魚類 vs 両生類

    魚類は水中生活に完全に適応しているため、不凍タンパク質が必要不可欠ですが、両生類は陸上と水中の双方で生活するため、凍結対策の進化が異なる方向に進みました。

    鳥類 vs 哺乳類

    鳥類と哺乳類は恒温動物であるため、寒冷地では行動や形態を通じて体温を維持します。不凍タンパク質そのものは生成しませんが、代謝調節や脂肪蓄積など、異なる適応戦略が見られます。

    おわりに

    不凍タンパク質は、特に魚類において極寒の環境への適応として重要な役割を果たしていますが、他の生物群でも寒冷地に対応するさまざまなメカニズムが見られます。これらの進化の多様性は、生物がどのように環境に適応してきたかを示す重要な証拠です。

  • 人気の犬の種類

    人気の犬の種類

    犬の種類は世界中に何百種類も存在し、それぞれが異なる特性や性格を持っています。以下は、代表的で人気のある犬の種類を掘り下げてご紹介します。それぞれの犬種は、見た目や性格だけでなく、歴史的背景や飼育における注意点など、多面的な特徴を持っています。

    1. 柴犬(Shiba Inu)

    概要と歴史

    柴犬は、日本の国犬とも言えるほど、古くから日本で愛されている犬種です。その歴史は紀元前までさかのぼり、狩猟犬としての役割を果たしてきました。名前の「柴」は、小さな森や低木を意味し、山地で小動物を追うために育てられた犬種です。

    外見

    柴犬は小型犬で、筋肉質でバランスの取れた体型をしています。耳は三角形で立っており、目はアーモンド型で鋭い表情をしています。尾は巻いており、毛は二重層で、柔らかい内毛と粗い外毛から構成されています。色は赤、黒、白などがあります。

    性格と飼い方

    独立心が強く、頑固な面もありますが、非常に忠実で家族を守ろうとする性格です。自己主張が強いため、しつけには一貫性が必要です。運動量が多いため、毎日の散歩や運動が欠かせません。また、社交性を高めるために、早期からの社会化訓練が必要です。

    2. ゴールデン・レトリバー(Golden Retriever)

    概要と歴史

    ゴールデン・レトリバーは、19世紀後半にイギリスで開発された犬種です。元々は狩猟犬として、特に水鳥の回収に優れており、その優れた回収能力が現在も残っています。

    外見

    中型から大型の犬で、豊かな金色の被毛が特徴です。体つきは筋肉質でバランスが良く、優雅な動きをします。耳は垂れ、目は温かみのある表情をしており、人懐っこい性格を表しています。

    性格と飼い方

    ゴールデン・レトリバーは、社交的で穏やかな性格を持っており、家庭犬として非常に人気があります。知能が高く、しつけもしやすいです。特に子供や他の動物に対しても優しく、介助犬やセラピー犬としても多く活躍しています。運動量が多いため、毎日の散歩や遊びが必要です。

    3. ドーベルマン(Doberman Pinscher)

    概要と歴史

    ドーベルマンは、19世紀にドイツの税務官であったカール・フリードリヒ・ルイス・ドーベルマンによって開発されました。彼は、警備や保護を目的とした犬種を作りたかったため、複数の犬種を交配してドーベルマンを生み出しました。

    外見

    大型で筋肉質な体型を持ち、非常に機敏です。被毛は短く、光沢のある黒、青、茶、赤の色合いがあり、耳は立たせることが多いです。全体的に非常に堂々とした姿をしています。

    性格と飼い方

    ドーベルマンは忠誠心が強く、家族を守る本能が強い犬種です。警戒心が強く、しっかりと訓練されていないと攻撃的になることもあるため、経験豊富な飼い主に向いています。十分な運動が必要で、知的な刺激も欠かせません。適切な社会化としつけが鍵となります。

    4. ボーダー・コリー(Border Collie)

    概要と歴史

    ボーダー・コリーは、スコットランドとイングランドの国境地帯で発展した牧羊犬です。優れた知能と運動能力を持ち、牧羊犬としては世界でも最高と評価されています。

    外見

    中型犬で、スリムな体型をしています。被毛は中程度の長さで、黒と白のバイカラーが一般的です。耳は半立ちで、目は非常に鋭い表情をしており、集中力の高さを物語っています。

    性格と飼い方

    非常に知能が高く、学習能力が高い犬種です。ボーダー・コリーは、自発的に行動する能力が高いため、飼い主の指示を待たずに自ら判断することができます。そのため、しつけには時間と労力が必要ですが、しっかりとトレーニングされれば、非常に頼りになる存在です。高い運動量を必要とするため、定期的な運動や知的なゲームが必要です。

    5. ビーグル(Beagle)

    概要と歴史

    ビーグルは、イギリスで古くから存在する嗅覚犬で、特にウサギ狩りに使われてきました。小型で活発な犬種であり、狩猟本能が強いです。

    外見

    ビーグルは小型から中型の体型を持ち、短い毛で三色のコート(白、茶、黒)が特徴です。垂れた耳と、友好的な表情が印象的で、尾は高く上げられています。

    性格と飼い方

    元気で好奇心旺盛な性格を持ち、家族と遊ぶことが大好きです。特に子供との相性が良く、家庭犬としても人気があります。一方で、嗅覚が非常に発達しているため、散歩中に匂いを追ってしまうことが多いです。しっかりとしたリーダーシップと適度な運動が必要です。

    6. ダックスフント(Dachshund)

    概要と歴史

    ダックスフントは、ドイツでアナグマ狩りのために開発された犬種です。その特徴的な体型は、狭い穴にも潜り込むために適しています。

    外見

    体は非常に細長く、脚が短いユニークな体型を持っています。被毛には短毛、長毛、ワイヤーヘアの3種類があり、毛色も多様です。全体的にコミカルな外見で人気です。

    性格と飼い方

    ダックスフントは勇敢で独立心が強い犬種です。狩猟本能が強く、小さな動物に対しては追いかける傾向があります。しつけには忍耐が必要ですが、家族との絆を大切にします。毎日の運動と遊びが不可欠です。

    7. フレンチ・ブルドッグ(French Bulldog)

    概要と歴史

    フレンチ・ブルドッグは、19世紀にイギリスのブルドッグがフランスで交配されて生まれた犬種です。その小型で愛嬌のある見た目から、パリの上流階級にも愛されました。

    外見

    フレンチ・ブルドッグは小型でがっしりとした体型を持ち、短い鼻と大きなコウモリ耳が特徴的です。被毛は短く、手入れがしやすいです。毛色はフォーン、ブリンドル、白など多彩です。

    性格と飼い方

    愛情深く、友好的な性格を持ち、都会生活に適しています。エネルギッシュですが、過度な運動は必要なく、室内でも満足して過ごせます。フレンチ・ブルドッグは暑さに弱いので、夏場の過度な運動には注意が必要です。

    8. プードル(Poodle)

    概要と歴史

    プードルは、元々水中回収犬として活躍していた犬種です。スタンダード、ミニチュア、トイの3つのサイズがあり、それぞれ異なる役割を持っていますが、どのサイズも知能が高いことで知られています。

    外見

    プードルは巻き毛が特徴で、被毛はカットスタイルによってさまざまに変化します。スタンダードは大型、ミニチュアは中型、トイは小型と、体格に応じてサイズが異なります。

    性格と飼い方

    プードルは知能が高く、しつけや訓練が非常にしやすい犬種です。活発で遊び好きな性格をしており、家族との時間を大切にします。特に運動と知的な刺激が重要で、さまざまなアクティビティに参加させることが飼育のポイントです。

    9. ジャーマン・シェパード(German Shepherd)

    概要と歴史

    ジャーマン・シェパードは、19世紀末にドイツで牧羊犬として開発されましたが、現在では警察犬や軍用犬としても非常に人気があります。

    外見

    大型で筋肉質な体型を持ち、被毛は中程度の長さです。典型的な毛色は黒と茶ですが、他にもバリエーションがあります。直立した耳と強い表情が特徴です。

    性格と飼い方

    非常に忠実で知能が高く、保護者的な性格です。

  • ニューロンにおける興奮の伝達

    ニューロンにおける興奮の伝達

    シナプスとは神経細胞ニューロンや筋細胞、腺細胞とのつなぎ目間の接触部をいう。シナプスはその形成部位にかかわらず、シナプス伝達の機構によって化学シナプスと電気シナプスに区別される。また、シナプスはその機能によってシナプス後ニューロンに興奮を生ずる興奮性シナプスと、抑制を生ずる抑制性シナプスに区別される。

    送り手側の神経細胞はシナプス前部においてグルタミン酸などの神経伝達物質を放出し、受け手側の神経細胞はシナプス後部にある受容体などで神経伝達物質を受け取ることにより細胞間の情報伝達を行う。この部分には,約150~200Åのシナプス間隙があり,シナプス小胞という構造がある。小胞中には化学伝達物質(神経伝達物質)が含まれていると考えられ,神経インパルスが終末部に到達すると化学伝達物質が放出される。これがシナプス後膜へと拡散し,この部分に含まれる受容体レセプターと結合。そこでの化学的開チャンネルを開き,それによってイオンが通過し,情報(信号)が軸索の末端まで伝わると、電位依存性のカルシウムチャネルが開く。流れ込んだカルシウム(Ca+)が、ニューロン内のシナプス前部のシナプス小胞にくっつき、細胞膜と融合する (袋が破れる)。 この時、シナプス小胞内の神経伝達物質が、シナプス間隙に放出される。次のニューロンの樹状突起にある受容体(レセプター)に出てきた神経伝達物質がくっつき、ナトリウムチャネルが開く。ナトリウム(Na+)が次のニューロンに流れ込み、それによって細胞膜内の電位が+になることで静止膜電位が上がる(脱分極)する。この時に見られる膜電位のことを、 特に興奮性シナプス後電位 (EPSP:ExcitatoryPostSynaptic Potential)という。もし、異なる種類の受容体(レセプター)に、神経伝達物質が結合し、塩素(Cl-)などの-のイオンが細胞膜内に流れ込んだ場合には、静止膜電位は更に下がる(過分極する)。この時に見られる膜電位のことを、特に抑制性シナプス後電位(IPSP:Inhibitory PostSynaptic Potential)という。

    Synapses are nerve cells: The contact between neurons, muscle cells, and glandular cells. Synapses, regardless of their formation site, are distinguished into chemical synapses and electrical synapses according to the mechanism of synaptic transmission. In addition, synapses are distinguished into excitatory synapses, which cause excitation in postsynaptic neurons, and inhibitory synapses, which cause inhibition, according to their function.

    Nerve cells on the sender side release neurotransmitters such as glutamate at the presynapse, and nerve cells on the receiving side transmit information between cells by receiving neurotransmitters at receptors at the postsynapse. In this part, there is a synaptic cleft of about 150~200 Å, and there is a structure called synaptic vesicles. Vesicles are thought to contain chemical messengers (neurotransmitters), and chemical messengers are released when nerve impulses reach the terminals. This diffuses into the postsynaptic membrane and binds to receptor receptors contained in this part. When the chemical open channel there, through which ions pass through and the information (signal) travels to the end of the axon, a voltage-gated calcium channel opens. The flowing calcium (Ca+) attaches to the synaptic vesicles at the presynapse in neurons and fuses with the cell membrane (the bag is torn). At this time, neurotransmitters in the synaptic vesicles are released into the synaptic cleft.

    The neurotransmitter that comes out of the receptor in the dendrites of the next neuron sticks and the sodium channel opens. Sodium (Na+) flows into the next neuron, thereby increasing the static membrane potential (depolarization) by increasing the potential in the cell membrane to +. The membrane potential seen at this time is called the excitatoryPostSynaptic Potential (EPSP). If a neurotransmitter binds to a different type of receptor and – ions such as chlorine (Cl-) flow into the cell membrane, the resting membrane potential drops further (hyperpolarization). The membrane potential seen at this time is called inhibitory postsynaptic potential (IPSP).

  • 生命の階層構造とは?

    生命の階層構造とは?

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     1.はじめに

    生命は階層構造をなしている。分子 (H2O,O2),生体分子 (DNA,RNA, 蛋白質),細胞内小器官 (ミトコンドリア),細胞 (赤血球),組織 (上皮組織),器官 (肺,胃),個体 (ヒト),集団 (人類集団),生態系 (環境) のように生物界を階層的にみることができる。生命はこうした階層を通して進化し,より複雑な生命が生まれてきたと考えられている1)。

    生体内に備わっている仕組み 免疫

     免疫は病原体が宿主に侵入しても、発病しないように働く生体の防御機構のこと。免疫反応を起こさせる抗原がある。抗原は外来性抗原と生体内抗原がある。外来性抗原には病原細菌、ウイルス、移植組織、異型輸血、毒素、タンパク、花粉などがある。生体内抗原には腫瘍細胞、感染細胞、老廃組織、自己免疫疾患などがある。抗原に対する免疫反応が生じないように許容される免疫寛容があり、この寛容が弱いとアレルギーや自己免疫疾患を生じる。Treg細胞などが関わる。生体防御機構の分類としては非特異的免疫と特異的免疫がある。非特異的免疫は生まれつき持っている免疫系であり、一次防衛線には皮膚、粘膜、分泌物、 抗菌タンパクがある。一次防衛線を突破した場合に働く二次防衛線では、マクロファージ、好中球 肥満細胞、樹状細胞、ナチュラルキラー細胞などが存在する。

     特異的免疫は三次防衛線と呼ばれT細胞 (キラー細胞)、抗体(γ-グロブリン)がある。非特異的免疫の一次防衛線の皮膚は重層扁平上皮、脂肪酸での細菌増殖抑制する脂線、汗腺により防御されている。粘膜上皮は粘液(分泌型 IgA)、線毛による排除、リゾチーム(鼻汁、涙、唾液)、乳汁(ラクトフェリン(鉄結合タンパク))からなる。その他、発熱により微生物の増殖を防ぎ、嘔吐、鼻水によりウィルスを排出する。二次防衛線の食細胞である好中菌は過酸化水素やリゾチームなどによって殺菌溶菌する。マクロファージは病原微生物を貪食し、その抗原情報をT細胞に知らせ、オプソニン効果により細胞活性が亢進する。NK細胞は特殊リンパ球が癌特異抗原、ウイルスに感染した細胞を認識し、攻撃する。マクロファージやヘルパーT細胞から分泌される活性物質(IL-2、IFN-γ)によって活性化される。組織中の肥満細胞や血液中にある好塩基球はヒスタミン、好中球遊走因子、ロイコトリエン LT などを分泌 し、アレルギー反応を起こす。即時型アレルギーに関わる。

     非特異的免疫の三次防衛線では獲得免疫は病原細菌に感染することで抗原情報が記憶される仕組み。リンパ球の細胞性免疫であるT細胞や液性免疫であるB細胞がある。また、マクロファージは抗原提示細胞で組織に定着している1)。以上により免疫はウィルスなどの感染を3段階の防御を備え、生体防御システムとして機能している。

    2.生命の階層構造について

    下記に生命の階層構造を示した。一般的に9区分に分けられる。

    個体:存在するそのもの

    器官系:共通の働きを持つ器官の集まり

    器官:肉眼で見えるような形を持つ構造

    組織:器官をつくる素材で、細胞の集まり

    細胞:顕微鏡で見えるサイズで生命の最小単位

    細胞小器官:細胞の中で一定のはたらきを持つ構造

    巨大分子:分子の中でも大きなかたまりを示す

    分子:複数の原子からなり、人体のはたらきにおける最小単位

    原子:原子核とそれを取り巻く電子からなる、物質の基本的な構成要素

    3.階層構造の例

    一つ目にヒトの心臓を挙げる。心臓は単核でミトコンドリアが数多く存在し、

    自らの意識下では動かない不随意運動をする。

    個体ではヒト

    器官系の階層では心臓が血液を体の中で回している循環器

    器官の階層では心臓

    組織の階層では心筋組織

    細胞の階層では心筋細胞

    細胞小器官の階層では細胞内細胞質基質中に核、リボソーム、小胞体、ミトコンドリア、

    葉緑体(色素体)、ゴルジ体、中心体、リソゾーム、液胞が存在する。

    以上よりヒトの心臓は階層構造を成しているといえる。

    二つ目にヒトの小腸を挙げる。

    個体の階層ではヒト

    器官系の階層では消化器。胃や大腸と同じ位置

    器官の階層では小腸

    組織の階層では腸鞭毛、粘膜下組織など

    細胞の階層では腸上皮中の杯細胞、食物消化物が通る内腔の表面の上皮細胞

    細胞小器官の階層では細胞内細胞質基質中に各種存在する核からなるもの

    以上により、ヒトの小腸は階層構造を成しているといえる。

    三つ目にヒトの血管

    個体ではヒト

    器官系の階層では血液を体の中で回している循環系

    器官の階層では血管

    組織の階層では動静脈血管壁 内膜、中膜、外膜から構成

    細胞の階層では内皮細胞、平滑筋細胞などから構成

    細胞小器官の階層では細胞内細胞質基質中に各種存在する核からなるもの

    以上により、ヒトの血管は階層構造を成しているといえる。

    参考文献

    [1] 免疫のしくみと働き http://plaza.umin.ac.jp/~histsite/3immuntxt.pdf

    [2] 要素多様性に基づく生命の階層構造の進化に関する抽象モデル https://www.ai-gakkai.or.jp/jsai2007/data/pdf/100170.pdf

  • 【生物】DNA デオキシリボ核酸 配列情報

    【生物】DNA デオキシリボ核酸 配列情報

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    DNA配列情報からタンパク質が作られる仕組み

    遺伝子のDNA はタンパク質をつくる設計図と考えられ、そこにはアミノ酸の種類、数、配列、立体構造などタンパク質合成に必要な情報が詰まっている。二重らせんは糖とリン酸が交互につながった帯の上に、アデニン(A)、チミン(T)、シトシン(C)、グアニン(G)という4種類の塩基が突き出ている。染色体上のDNAは合成するタンパク質の情報部分だけ二重らせんをほどき、ほどけた部分の情報は、DNAの鎖の片側からRNA(リポ核酸)に写し取られる。RNAはDNA同様4つの塩基があるが、TだけがU(ウラシル)に置き換わる。DNAがG-C-AならRNAはG-C-Uとなって写し取られる。情報を写した伝令RNAは細胞の核の外に出て、タンパク質の合成工場であるリボゾームにたどり着く。ここに伝令RNA が付着すると、今度は運搬RNAが伝令RNAの持つ暗号の指示通りにアミノ酸を並べ、タンパク質の鎖をつくり出す。DNAには膨大な遺伝情報が書き込まれており、ヒトのDNAは長さ2mにも及ぶ。

    DNA情報の異常による疾患の例

     ヒトのDNA情報の異常の有名な例としてダウン症候群がある。ダウン症候群は、最小の常染色体である 21 番染色体の過剰により引き起こされる。発症には 21 番染色体全体の過剰が必須ではなく、一部分のみの過剰で引き起こされる。

    パーソナルゲノム情報とそのメリット、デメリット

    パーソナルゲノムが手に入るようになれば、ヒトは自分たちがどのような病気になりやすいか、というリスクを事前に知ることができるため、病気になってからの治療が中心的な現代の医療を、そもそも病気になる前に予防するという予防医療へと大きく転換させられる可能性がある。また、大規模なコホート研究などにより、現在難病・希少疾患とされているような疾患の原因を明らかにし、創薬や治療に結びつけられることも期待される。

    パーソナルゲノムのメリット・デメリット

    このような利点の一方で、パーソナルゲノムという「究極の個人情報」の管理や、遺伝情報による雇用や保険における差別、また、出生前診断や個人の”知らない権利”など、多くの社会的・倫理的課題も存在する。

    参考文献

    1.      DNAはタンパク質をつくる設計図? http://www.jmi.or.jp/qanda/bunrui4/q_066.html

    2.      パーソナルゲノム時代の先進的リテラシー教育http://www.iab.keio.ac.jp/research/highlight/papers/201501260129.html

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  • 【生物】ニューロンにおける興奮の伝達

    【生物】ニューロンにおける興奮の伝達

    シナプスとは神経細胞ニューロンや筋細胞、腺細胞とのつなぎ目間の接触部をいう。シナプスはその形成部位にかかわらず、シナプス伝達の機構によって化学シナプスと電気シナプスに区別される。また、シナプスはその機能によってシナプス後ニューロンに興奮を生ずる興奮性シナプスと、抑制を生ずる抑制性シナプスに区別される。送り手側の神経細胞はシナプス前部においてグルタミン酸などの神経伝達物質を放出し、受け手側の神経細胞はシナプス後部にある受容体などで神経伝達物質を受け取ることにより細胞間の情報伝達を行う。この部分には,約150~200Åのシナプス間隙があり,シナプス小胞という構造がある。小胞中には化学伝達物質(神経伝達物質)が含まれていると考えられ,神経インパルスが終末部に到達すると化学伝達物質が放出される。これがシナプス後膜へと拡散し,この部分に含まれる受容体レセプターと結合。そこでの化学的開チャンネルを開き,それによってイオンが通過し,情報(信号)が軸索の末端まで伝わると、電位依存性のカルシウムチャネルが開く。流れ込んだカルシウム(Ca+)が、ニューロン内のシナプス前部のシナプス小胞にくっつき、細胞膜と融合する (袋が破れる)。 この時、シナプス小胞内の神経伝達物質が、シナプス間隙に放出される。次のニューロンの樹状突起にある受容体(レセプター)に出てきた神経伝達物質がくっつき、ナトリウムチャネルが開く。ナトリウム(Na+)が次のニューロンに流れ込み、それによって細胞膜内の電位が+になることで静止膜電位が上がる(脱分極)する。この時に見られる膜電位のことを、 特に興奮性シナプス後電位 (EPSP:ExcitatoryPostSynaptic Potential)という。もし、異なる種類の受容体(レセプター)に、神経伝達物質が結合し、塩素(Cl-)などの-のイオンが細胞膜内に流れ込んだ場合には、静止膜電位は更に下がる(過分極する)。この時に見られる膜電位のことを、特に抑制性シナプス後電位(IPSP:Inhibitory PostSynaptic Potential)という。