【法律】著作物の定義と利用:日本の著作権法に基づく具体例とは?

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はじめに

 著作権は人々の生活にて身近に触れているものである。何気ない普段の生活の中でも人が身につけている衣類、食べるために使用する食器類、住んでいる家にあるテーブルやソファー、漫画や雑誌、携帯電話で使用するアプリなど考えてみれば周りはありとあらゆるものが著作物である。本レポートでは、まず著作物の定義やその具体例について挙げ、次にその著作物に編集を加え二次的著作物としたもののその利用の例、そして著作権が発生する時期とまたその効力について、著作権が侵害される場合とその侵害の具体例を挙げ、最後に著者の私見を述べる。

著作物の定義とその例

 日本国の著作権法にて定義する著作物とは、著作権法第2条にて思想又は感情を創作的に表現したものであり文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。「思想又は感情」とは、高度な学問的あるいは芸術的な内容を問うものではなく、人の考えや気持ちが現れているものであれば足りる、と解されている。また、「創作的に表現」とは芸術作品のような創作性を求めているわけではなく、著作者の個性が創作行為に現れていれば良いとされており、創作性のレベルの高低を問うものではない点にも注意が必要である。

 著作物として当たるものには次のようなものがある。例えば、科学技術の研究報告論文、舞台やテレビドラマなどで使用される台本、脚本や小説、詩歌、俳句、講演などの言語、作詞や作曲物である音楽、絵画、版画、彫刻、漫画、書、舞台装置、美術工芸品などの美術、デザイナーや建築家によって設計された芸術的な建造物、図形。フォトグラファーにより撮影された写真、グラビア。劇場用映画、テレビドラマ、ネット配信動画、ビデオソフト、ゲームソフト、コマーシャルフィルムなどの映画。アプリやブログなどのコンピュータープログラム。出版社により編集され、素材の選択又は文字や図表の配列によって創作された新聞、雑誌、百科事典、書物、他には編集著作物のうちコンピュータで検索できるものであるデータベース、日本舞踊、バレエ、ダンスやパントマイムの振り付けなどの舞踊、またこれまで挙げた著作物の二次的著作物などが挙げられる。思想やアイデアは著作物に当てはまらないが、それを文書など形とした場合は著作権が発生する。

二次的著作物とその利用

 著作権法第2条第1項第11号ではある著作物(原著作物)を、翻訳、編曲、映画化、表現形式を変更する等して創作された著作物を二次的著作物と呼ぶ。二次的著作物については、これを創作した者が有する権利(著作権)と同一の権利を、原著作物の著作権者も有することになり、これを一般に二次的著作物の利用権と呼んでいる(第28条)。具体的には、日本語で書かれた小説を英語など他言語に翻訳し、それを出版する。出版物である原作を用いてそれを映画で表現する場合は、翻訳者の了解だけでなく、元となる原作者の了解が必要になる。

著作権発生時期とその効力

 著作権は著作物を創作した時点で自動的に発生し、その取得のために手続を必要としない。この点が、登録することによって権利の発生する特許権や実用新案権などの工業所有権と異なる点である。しかし、著作権を登録する制度は存在する。著作権法上の登録制度は、権利取得のためのものではなく、また、登録は著作権の移転の要件ではなく、登録をしなくても移転の効力は有効に生じる。では、なぜ登録制度があるのかという疑問が湧いてくる。それは、著作権関係の法律事実を公示するとか、あるいは著作権が移転した場合の取引の安全を確保するなどのために存在するものである。そして、登録の結果、法律上一定の効果が生じることになる。なお、プログラムの著作物を除くその他の著作物については、創作しただけでは登録できない。著作物を公表したり、著作権を譲渡したなどという事実があった場合にのみ、登録が可能となる。

著作権侵害の要件と侵害の事例

 著作物を自由に使用できるものとしては家庭内で仕事以外の目的で使用するために著作物を複製することができ、翻訳、編曲、変形、翻案もできる。なお、デジタル方式の録音録画機器等を用いて著作物を複製する場合には、著作権者等に対して補償金の支払いが必要となってくる。しかし、公衆の使用に供することを目的として設置されている自動複製機器を用いて複製するときや著作権法第2条1項の技術的保護手段の障害回避が可能となった複製。具体的には、CDやDVD等の記録媒体に保存された音楽や映像、プログラム等の著作物の複製行為を一定の範囲に積極的に制限する場合や著作権等を侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の録音又は録画を、著作権等を侵害する自動公衆送信である事実を知りながら行うときは、この例外規定は適用されない。 

 それから、国立国会図書館では複製が認められている。著作権法第31条によると国立国会図書館と政令(施行令第1条の3)で認められた図書館に限り,一定の条件(注4)の下に、ア)利用者に提供するための複製、イ)保存のための複製、ウ)他の図書館のへの提供のための複製を行うことができるとある。利用者に提供するために複製する場合には,翻訳して提供することもできる。国立国会図書館においては,所蔵資料の原本の滅失等を避けるため納本後直ちに電子化(複製)することができるとある[3]。

 また、例外として著作権利用の例外規定として映画の盗撮の防止に関する法律により,映画館等で有料上映中の映画や無料試写会で上映中の映画の影像・音声を録画・録音することは、私的使用目的であっても適用されない。2007年8月30日から施行されたこの法律は盗撮行為に対する量刑も大変重く、10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金、又はその両方が科せられる。日本の映画産業における被害は年間200億円に上る[2]。芸術とも取られる映画産業を保護する目的がある。

 平成31年1月17日、大阪地方裁判所は、日本最大級の出版海賊サイトにて出版コンテンツの無断アップロード事案に関し、当該サイトを運営・管理するなどしていた主犯格の男性3名について、いずれも実刑判決を言い渡している。男性らは、複数のアップロード行為者と共謀の上サイトを通じて出版コンテンツを権利者に無断で公開していた事実により起訴されていたが、大阪地裁は、本サイトを通じた被害について、起訴対象となった44著作権者、68点の書籍データに限っても3931万円であり、サイト全体では極めて大規模、悪質で結果も重大との事実を認定し、本判決を通じて当該サイトを通じた著作権侵害行為が極めて悪質であったことが改めて明らかなった事例がある[4]。

著作権侵害に対する私見

 著作物は著作者が苦労して時間や費用をかけ作製したものであるため、容易に他の人に渡らないように制限され、不利益が被らない仕組みとならなければいけない。そこで発生した考えが著作権である。世の中に存在するありとあらゆるものが著作物であり、著作権発生のタイミングとしては著作物を創作した時点で自動的に発生し、その取得のためには手続を必要としない。著作権関係の法律事実を公示する、あるいは著作権を譲渡する場合の取引の安全を確保するなどのために存在するものである。そして、登録の結果、法律上一定の効果が生じることになる。

 なお、プログラムの著作物を除くその他の著作物については、創作しただけでは登録できないことを理解した。また、著作権は二次的な利用にも制限され、原作者の気持ちを考えると、原作者の了承を得ることが必要であることは当然である。音楽や映画など記録媒体での例から家庭生活の限られた範囲の利用であれば、複製を行っても良い例があることが理解できた。しかし、個人使用が目的であっても映画館での撮影を禁止している例などもあるため注意が必要である。

参考文献

[1]文化庁 ウェブサイト http://www.bunka.go.jp/seisaku/chosakuken/seidokaisetsu/toroku_seido/index.html

[2]映画館に行こう ウェブサイト https://www.eigakan.org/legal/

[3] 公益社団法人著作権情報センター ウェブサイト 著作権法 http://www.cric.or.jp/db/domestic/a1_index.html

[4] 一般社団法人コンピュータソフトウェア著作権協会 ウェブサイト http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2018/1221.php

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