北海道の中核事象「第一次産業がなぜ基幹となっているのか?」

北海道の中核事象「第一次産業がなぜ基幹となっているのか?」

① 人口とその特色

北海道の人口は令和4年1月1日現在5,183,687人である。北海道の面積は83,457 km² (北方領土含む)となっており、近畿、中国、四国を足した面積と同等である。また、人口密度は全国平均の約5分の1、都市間距離が全国の2~3倍となっており、広大な地域に人口や機能が分散している地域構造を有している。道内主要都市の人口推移は小樽市、室蘭市など1970年以降減少傾向にある都市と石狩市、恵庭市、中標津町などのように1970年から2010年にかけて増加し、2040年にかけて現在の人口が比較的維持される傾向がある都市等、様々な状況が見られる。下記に令和4年住民基本台帳人口を示した[1]

また、農水産業の1人当たり産出・生産額は地方部にて大きい傾向がある。北海道における農業産出額、漁業生産額の約8割を都市的サービスが日常的に享受可能な地域以外で担っている。北海道の農林水産業を主体とする地域は都府県と比べ、第1次産業に直接、間接に関わる人が多く、第1次産業が地域経済の基幹となっている。

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[1]令和4年住民基本台帳人口・世帯数(令和4年1月1日現在)

②  農業と自然環境

 北海道の農業は広大な大地を活かし、稲作、畑作、酪農など大規模で土地利用型の生産性の高い農業を展開している。また、平成26年の農業産出額は1兆を超え、全国の1割以上を占めている。地形的に大きな広がりを持つ北海道は、気象や立地条件などの変化によって地域別に農業の特色がある。地域は大きく「道央地帯」「道東(畑作)地帯」「道東(酪農)地帯」「道南地帯」に分かれており、以下のような違いがある。

 道央地帯では北海道の中央部から日本海に注ぐ石狩川水系に沿った川上盆地や石狩平野の豊富な水資源と比較的温暖な夏季の気候を利用し、稲作の中核地帯が形成されている。また、札幌近郊・空知南部・上川では道外移出向けを中心とした野菜の生産が盛んな他、日高の軽種馬、上川・胆振の肉用牛など、地域の特色を生かした農業が展開されている。

 道東(畑作)地帯では十勝・オホーツク地方を中心とするこの地域は、広大な農地を生かした大規模な機械化畑作経営が行われており、豆類、てんさい、馬鈴薯、麦類を中心とした日本の代表的な畑作地域となっている。北見を中心とする玉ねぎは日本の最大の産地として道外に出荷されている。

 道東(酪農)・道北地帯では根釧、宗谷を中心とするこの地域は広大な丘陵と湿原を含む平坦地が大半を占めていますが、泥炭地などの特殊土壌が多く、気候が冷涼であることから草地が中心となっており、EU諸国の水準に匹敵する大規模な酪農が展開されている。

 道南地帯では後志・渡島・檜山地方の渡島半島と羊蹄山麓などからなるこの地域は、平坦部が少ないため経営規模は小さいが、道内では最も恵まれた気候に恵まれ、集約的な農業が行なわれている。米が各地で生産されている他、函館近郊では施設野菜団地が形成されており、畑作地帯は後志の羊蹄山麓が、果樹地帯は後志北部として発展している。

 稲作を中心に、野菜の栽培や種馬、肉用牛の飼育が盛んである。玉葱、ジャガイモ、てんさい(ビート)、小麦、小豆、トウモロコシ、かぼちゃと種類が豊富で全国上位を占めている。また、北海道の食料自給率は208%(平成26年)であり、日本の食料基地として、食の安定供給に貢献している。

③ 交通網と地域の分布、農業人口の減少

 北海道の交通ネットワークイメージ図を示した。北海道の高規格道路は昭和42年度から整備を始め、昭和46年度に小樽IC~札幌西IC間(延長24.3km)及び千歳IC~北広島IC間(延長22.9km)が初めて開通した。現在、北海道の高規格幹線道路の開通延長は1,015km、整備率56%である。

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 北海道では農家数の減少が続いており、平成2年で8万戸であった農家数は、平成24年で4万戸(全国の3%)となり20年で半減している。一方、意欲的な農家が積極的に離農跡地を取得して経営規模を拡大してきており、農家数の減少に反して2020年の全体の耕地面積は114.3万haと全国に占める割合は26.1%と微減に留まっている[3]。平均経営規模は23.4haと都府県の15倍となっており、全国1位となっている。

 農業の担い手の確保に向けた取組が進められている。例えば、新得町レディースファームは女性の就農・定住を目的として農業や農村に興味を持つ女性専用農業体験実習施設であり、個室10室を始め、加工室、厨房等を併設している。農家実習による実用的な農業技術、地域の農業改良普及センター等を中心とした専門家による農業技術の理論等を学習している。18期生までの修了生153人の就職のうち、農業関係は47人、うち22人は町内で就職している[2]という。

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④ 農業と生活文化(祭りや年中行事)

北海道の歴史の3つの特徴

 北海道の歴史の特徴の一つは、本州・四国・九州が農耕社会になった後も、生活の基本を「狩猟・漁ろう・採集」とし、その暮らしが続いた。このことが、後の北海道の歴史を本州とは異なるものにしたと言える。

 二つ目の特徴は、現代につながるアイヌ文化の歴史の存在である。アイヌ文化は、縄文文化が徐々に変化した続縄文文化や擦文文化を受け継ぎつつ、交易や雑穀農耕など新たな要素を取り入れ発展してきた文化である。そして現代のアイヌ文化は神様(カムイ)への祈りを捧げる儀式や、文字による伝承ではなく口伝えで残された物語で、アイヌ民族の思想や世界観を今に伝えている。

 三つ目の特徴は、北海道開拓の歴史がある。明治時代になると士族の集団移住や屯田兵の開拓が行われ、本州各地から北海道に人々が入ってきた。それまで、本州から来た和人は主要な村に商人や僧侶がいたほかは、渡島半島南部の和人地に住んでいた。つまり、北海道の大部分はアイヌ民族が住む土地でした。開拓移住に際してはアイヌの人々の手助けもあり、良好な関係を築いた地域もあった。

⑤ 特産物と海外姉妹都市(国際交流)

北海道の人口当たりの出国日本人数(出国率)は九州圏、北陸圏より低く、沖縄と同程度の水準である。国際線乗降客数でみると、北海道は地方圏では沖縄、九州圏に次ぐ水準である。

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参考文献

[1]令和4年住民基本台帳人口・世帯数 令和4年1月1日現在(2022.08.25閲覧)

[2]北海道開発局 国土交通省https://www.hkd.mlit.go.jp/ky/ki/chousa/foodscatalog_03.pdf (2022.08.25閲覧)

[3]出典:農林水産省「令和2年耕地及び作付面積統計」よりminorasu編集部作成

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