酵素とは細胞によって作られる生体内で起こる化学反応を触媒するたんぱく質の総称になります。酵素は酸化還元酵素・転移酵素・加水分解酵素・脱離酵素・異性化酵素・合成酵素に大別されます。単一ポリペプチド鎖からなるモノマー酵素と,複数のサブユニットの会合体として存在するオリゴマー酵素とがあります。分子量は9000〜100万。酵素の分類を下記表「Fig.1 酵素 EC番号による分類」に示した。Fig.1 酵素 EC番号による分類
酵素は生体内で触媒として働く有機物である。酵素は触媒よりも強力な触媒作用を示し、特定の物質に作用する。この特定の物質に働きかける相手の物質を基質という。そして、酵素のこの限定的な働き、基質の選択性を基質特異性と呼ばれる。例えば、アミラーゼはデンプンを麦芽糖に分解する酵素である。他にもスクラーゼ(インベルターゼ)はスクロースを加水分解するが、他の二糖類には全く反応しない。そのため、基質と酵素はしばしば「鍵」と「鍵穴」で例えられる。酵素はタンパク質でできているため立体構造を持っており、一定の構造をしている。この基質と作用する特定の構造部分を活性部位(活性中心)と呼ばれる。基質と酵素が一体になって活性化され、この複合体を「酵素基質複合体」と呼ぶ。複合体から基質が分解されて離れたとしても、酵素は複合体になる前のもとのままで変わらないため、触媒として働くと言える。
しかし、弱点として酵素はタンパク質できているため熱や酸や塩基や光に対して弱い。安藤らによると比較的熱に弱い酵素の改善例として温度 80 ~ 105 °Cで最適活性を示す超耐熱性セルラーゼ酵素遺伝子を植物に導入し、加熱処理するだけでグルコースを取り出せる自己糖化型エネルギー生産作物を作製、バイオエタノールの生産に期待できると報告されている[2]。また、この酵素の活性はpHによっても変化する。中性であるpHが7付近で最も活性化する酵素が多いが、この最も活性化するpHを最適pHという。例外としては胃液である酵素のペプシンはpHが2くらいが最適pHである。
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