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労働置換型技術とは労働自体をテクノロジーが自動化することで不要としてしまうタイプであり、産業革命期の労働力が機械にとって代わられることを恐れ、労働者による機械打ちこわしが起こったラッダイト運動の対象となったのもこちらである。
労働補完型技術は労働者の存在を必要とするが.、その労働をより簡易にできるようにし、機械が労働の一部を肩代わりするタイプを言う。この技術は労働者自身の安全性向上というメリットももたらす。テクノロジーが労働に与える影響を考えるためには、そのテクノロジーがどちらに該当するものなのかを見極める必要がある。
歴史を見ると技術革新においては労働補完型技術が初めに発生し、発展すると労働置換型技術に置き換わる流れがある。自動車で言えば、初めは徒歩であり、それから化石燃料を使った動力を得る。更にはその自動車を労働置換型のテクノロジーの場合、歴史を紐解けばそこには必ずそれまでの労働が置き換わり、不要とされて職を喪失した労働者の存在がある。もっとも様々なテクノロジーによって失業した労働者のデータを追って見れば、年齢が若いなど再学習のチャンスがある労働者は再雇用に成功するものの、そうでない人間にとっては失業が長く続くというのが一般的な傾向である。
参考文献
[1]テクノロジーの世界経済史 ビル・ゲイツのパラドックス みんなのレビュー
カール・B.フレイ (著), 村井 章子 (訳), 大野 一 (訳)
また、第一次産業革命・第二次産業革命・現代の産業革命についてそれぞれ説明し、それぞれにおいてどのような労働置換型技術と労働補完型技術が現れ、それらが労働と生活水準にどのように影響したかについて論述しなさい。講義で取り上げた諸国・諸地域について述べること。記述に当たっては、第一次・第二次・現代の順に述べ、労働置換型技術と労働補完型技術は、それぞれ置換型・補完型と略してよい。(2500字以内)
第一次産業革命
18世紀の第一次産業革命では主に綿織物の生産技術における技術革新、製鉄業の成長、蒸気機関の開発による動力源の刷新が挙げられる。そうして登場したのが織機と紡績機である。その当時の織布は、織工が一方の手で横糸を縦糸の間を通すための織機の付属物である杼を縦糸の間に投げ込んで、もう一方の手で受けていたので、織布の幅は織工の両手の幅で決定され、広幅の織布を織るには1台に2・3人がつかねばならなかった。そこで、アークライト(1732~92)は1768年にへ複数のスプールがあるジェニー紡績機を改良して、水力紡績機を発明した。この機械は水力を動力としたが、後には蒸気機関を動力とし(1790)、強い糸が連続生産が出来るようになった。
18世紀半ばにはワットによる蒸気機関の改良があり、石炭を動力とする力織機により綿織物を自動製造出来るようになるとともに、鉄道や蒸気船が生み出された。ワットはグラスゴー大学からニューコメンの蒸気機関の修理を依頼されて大改良を決意し、1765年にシリンダーと冷却器を分離することで出力を従来の2倍以上に、石炭消費量を7分の1に減らすことに成功した。さらに改良を加えて、1781年にはピストンの往復運動を回転運動に替えることに成功し、これによって従来炭坑の排水用にしか使えなかった蒸気機関があらゆる機械の動力として利用することが出来るようになった。木綿工業から始まった産業革命は、蒸気機関の利用による動力革命を引き起こし、さらに機械工業・製鉄業・石炭業など他の工業部門を飛躍的に発展させた。その結果、工場制機械工業が成立・発展し、良質・安価な商品が大量に生産されるようになり、人々の生活を大きく変えていくこととなった。第一次産業革命ではこれらのように主に補完型技術の変化が起こったと言える。
第二次産業革命
第二次産業革命はおおむね1860年代後半から1870年代初頭から第一次世界大戦前(1914年)までの期間を指す。第二次産業革命で機械化されるのは製鉄業や造船業のような重工業であり、エネルギーの主役は電力・石油である。1876年のベルによる電話の発明など、電気による通信技術が生まれた。1877年にニコラウス・オットーが石油をエネルギー源とする内燃機関を発明した。オットーはまず、液体燃料つまりガソリンを使用した4サイクルエンジンを発明することに成功した。このことから、1867年論文発表もされた4サイクルの概念は「オットーサイクル」と呼ばれている。
1879年にエジソンが白熱電球を実用化、電気を普及させるべく、1882年に世界初の発電所をニューヨークのパールストリートで操業開始した。エジソンの白熱電球・電力システムは1880年代にかけて世界に普及した。さらにニコラ・テスラとの電流戦争が巻き起こり、電力の供給が産業を活性化させる。電流戦争では直流送電と交流送電で交流送電に軍配が上がりました。その理由としては、直流送電は交流送電に比べて変圧設備が高価であり、かつ短距離送電では直流送電は変圧設備でのロスが大きくなるという欠点を持っており、交流に軍配が挙がっている。ダイムラーがその技術を受け継ぎ特許を取得。蒸気機関よりも熱効率が高く小型化しやすい内燃機関は工業機械のイノベーションを推し進め、自動車や航空機の発明を可能にした。
産業と働く人々の関係は19世紀中半まではそれまで人間が手作業で行われていた綿織物と蒸気機関が代わりに行うようになった。そして、19世紀末以降の「産業革命」では自動化のスピードが加速し、第二次産業革命では人間の仕事が機械により一部自動化されるようになった。ここでは、労働が補完型に加えて置換型への変化が訪れている。
現代 第三次産業革命、第四次産業革命
現代の第三次産業革命とも言える産業用ロボットは運搬・溶接・検査といった人間の作業まるまる代替が可能になっている。これから第四次産業革命にてIoTやAI人工知能と言った人間のプログラミング通りに動作するだけでなく、自ら学習して株価の変動予測や車の運転といった高度な作業まで代行できるようになった。この産業の発展は人間の仕事を軽くする歴史であると言える。自動化運転によりバスやタクシーの運転手、無人レジによるコンビニやスーパーのレジ係、AIによる自動通訳などの単純作業から代替が行われると考える。第4次産業革命と同意義の言葉として「インダストリー4.0」もよく上がる。インダストリー4.0とはドイツが世界で初めてIoTの普及を国家プロジェクトとして宣言したもので、ドイツ連邦教育科学省が勧奨し、ドイツ工学アカデミーにより2011年に発表された。これを受けて先進国を中心に第四次産業革命への注目が高まった。
日本で使われている第四次産業革命とは少し異なる意味合いもあるが、製造業のデジタル化・コンピューター化による自動化を推進している点では同じことを指している。たとえば、「ビッグデータ」。これまでの人類には扱いきれなかったような膨大なデータを分析することによって新たな知見が生まれようとしている。
また、「ブロックチェーン」「メタバース(仮想現実)」「NFT」という言葉もよく聞くようになった。これまでは現実世界を基準とした世界観だが、やがてインターネットを基準とした価値観も生まれてくると考えられる。そのほか、運転者に向けてアシストを行ったり、自動運転技術を搭載したスマートカーや3Dプリンター、バイオテクノロジーなども第4次産業革命に関連する言葉である。自然の流れでコストがかけられるところから置き代わりが進み、最後に残る人間のサービスはロボットにはできないデイサービスのような人と人とのふれあいとなるのではないか。
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