はじめに
近年、凄まじい勢いで高度情報化が進んでいる。インターネットの普及により電子メールやSNSなどが普及し、どこにいても人に連絡でき世界が非常に近くなっていると感じる。1990年代のインターネットや携帯電話の普及、情報技術の高度化に伴い、情報化社会という言葉が生まれた。インターネットは前身であるARPANET(アーパネット、Advanced Research Projects Agency NET work、高等研究計画局ネットワーク)は、世界で初めて運用されたパケット通信コンピュータネットワークであり、これがインターネットの起源である。1977年のことである。そこからxDSLや光ファイバ通信へと技術が進歩し、一般家庭においても短時間での大容量情報通信が可能となっている。今や半導体や通信技術の向上により、手のひらサイズのスマートフォン一つで高画質の動画を見ることができ、今やライブ配信まで可能になっていることが身近な例として挙げられる。将来、さらに細部までネットワークは普及し、IoT(Internet of Things、モノのインターネット)について議論がされ、普及が進んでいる1)。IoTは家電がインターネットに繋がる例として、防犯のためスマートフォンで外にいながらカメラを通じて家の様子を確認できたり、家に着く前にエアコンの電源を入れ、事前に部屋を温めておいたりといったことが可能となる。更には外からお風呂のお湯を沸かしたり、冷蔵庫に入っているものが分かり、レシピまで提案したりする製品まである。インターネットが身近になり、時間や費用を大幅に削減できる非常に便利なモノであることは間違いないが、一方、すべてがオンラインで繋がっているからこそ個人情報流出などセキュリティ面でのデメリットもある。以下のように本レポートでは情報化社会になることにより生じる課題と解決策について述べる。
- 情報化社会が進むことによるメリット・デメリット
情報化社会が進むと生活を営む人々には多くのメリットがある。パソコンから検索エンジンに知りたいキーワードを入力すればインターネットにより欲しい情報がその場ですぐに手に入る。わざわざその場所に行かなくても用事が済むようになっている。例えば、銀行窓口やATMに行かなくても離れた場所から残高確認や振り込みなどオンライン決済が可能である。ATMまでの移動にかかる費用や時間、銀行店舗にかかる人件費も節約が可能となる。また、ビッグデータの活用が可能である。ビッグデータとはデジタル化の更なる進展やネットワークの高度化、またスマートフォンやセンサー等IoT関連機器の小型化・低コスト化によるIoTの進展により、スマートフォン等を通じた位置情報や行動履歴、インターネットやテレビでの視聴・消費行動等に関する情報、また小型化したセンサー等から得られる膨大なデータである2)。スマホをはじめとするデバイスの進歩で、あらゆる情報が瞬時に蓄積され、コンピュータの進化で、その大量の情報(ビッグデータ)を瞬時に処理することができ、ネットワークの進化でグローバルに、企業・個人の壁を越え、国境も越えて、瞬時に情報が飛び交う時代になった。今後はさらにコンピュータの処理能力は上がり、記憶媒体の大容量化と低価格化は止まらず、スマホのさらなる高度化とSNSの進化であらゆる情報はさらに蓄積される。企業の情報システムは、自社所有化からクラウド利用にシフトしていく過程で、ビジネスにおける情報利用のレベルも急激に広がり進化していくと思われる。情報があつまり、消費者に価値を生まない無駄は徹底的に排除される。この流れはさらに加速し、今後はこの大量の情報(ビッグデータ)を、会社経営に有効活用するために情報システムをはじめとしAIやロボット化にどんどん波及して、企業の優劣や業績への影響もますます大きくなると予想できる。一方、オンラインで繋がっているからこそコンピュータウイルスやフィッシングによる氏名、住所、電話番号、クレジットカード番号などの個人情報流出はセキュリティ面やプライバシーの侵害の可能性が出てくる。これは、むやみに個人情報を端末に入力せず、必要最低限とし自分を守る必要がある。また、コンピュータウイルスや停電によりサーバがダウンすると便利な媒体は全く使用できない状態となる可能性が考えられる。ウイルスはネットワークが感染しないように監視・ブロックを行い、感染してしまった場合、感染が広がらないように直ちにネットワークを遮断し、感染経路を断つ措置を講じる。停電した場合に備え、太陽光発電や予備バッテリーによる電源の確保をしておくなどの対策が必要となると考えられる。
3. 情報化社会における有害情報
情報化社会が進むと人が情報を容易に手に入れられるようになる。そのため、フィルタリングをかけなければ成人だけではなく、判断が未熟である未成年にも有害情報や違法な情報が届いてしまう恐れがある。有害情報とは児童ポルノ・わいせつ物、麻薬売買の広告、公序良俗に反する情報、死体画像などの人の尊厳を害する情報、自殺を誘引する書き込み、アダルト、出会い系サイト、暴力的な表現などがある。
近年、未成年者の誘拐事件のニュースを目にすることが多い。スマートフォンからSNSを利用し、悩み事を持つ未成年者の相談にのり、良き理解者を演じ誘う。背景としてスマートフォンの個人保有率は多くの世代で増加傾向にある。SNSを良く利用し、情報リテラシーに疎いと考えられる13歳から19歳の未成年においても2017年で79.5%が所有しているという結果が報告されている2)。
図1 スマートフォンの個人保有率の推移 2)
4. 個人情報保護法
個人情報保護法は正式には個人情報の保護に関する法律と言い、個人情報の取扱いに関連する日本の法律である。コンピュータの進歩やネットワークを用いた情報通信網の発達に伴って、大量で多様な個人情報を蓄積し利用できるようになったが、管理する側には情報流出を防ぐ必要がある。個人のプライバシーが侵害されるおそれがあるため、個人情報が適正に扱われることを目的として法が制定、施行された。2003年(平成15年)5月23日に成立し、2005年(平成17年)4月1日に全面施行した。 個人情報保護法および同施行令によって、取扱件数に関係なく個人情報を個人情報データベース等として所持し事業に用いている事業者は個人情報取扱事業者とされる。個人情報取扱事業者が主務大臣への報告や、それに伴う改善措置に従わない等の適切な対処を行わなかった場合は、事業者に対して刑事罰が科される。後に個人情報には個人識別符号の定義が設けられた。身体の一部の特徴を電子計算機のために変換した符号。DNA、顔、虹彩、声紋、歩行の態様、手指の静脈、指紋、掌紋などがある。サービス利用や書類において対象者ごとに割り振られるものとしてはパスポート番号、基礎年金番号、免許証番号、住民票コード、マイナンバー、各種保険証等がある3)。
5. まとめと私見
情報化社会が進むと生活する人の利便性が増すが、そこに様々な問題が生じている。インターネットが生まれ情報化社会が進むと人が情報を容易に手に入るようになる。そのため、制限をかけなければ成人だけではなく、判断が未熟である未成年にも有害情報や違法な情報が届いてしまう恐れがあり、スマートフォン一つで気軽に行えるSNSなどでは情報リテラシーに乏しく、犯罪に巻き込まれる恐れさえある。だから、保護者は未成年に情報をそのまま与えるのではなく、ある種のフィルターをかけて与えるべきである。また、ビッグデータやAIは個人がネットサーフィンを行い、オンラインショップなどでモノを購入した情報などを集めた膨大なデータから得ている。気をつけなければ、個人のあらゆる情報が筒抜けとなりプライバシー侵害となる可能性がある。そのため、個人情報を守るために個人情報保護法が制定されている。個人情報保護法はコンピュータの進歩やネットワークを用いた情報通信網の発達に伴って、大量で多様な個人情報を蓄積し利用できるようになり、管理する側に情報流出を防ぐ責任を持たせる役割を持つ。また、リスクとしてはコンピュータウイルスや停電によりサーバがダウンすると便利な媒体は全く使用できない状態となる可能性が上げられ、備えとして太陽光発電や予備バッテリー等による十分な電源の確保をしておくなどの対策が必要となると考えられる。世の中を便利にするためにIoTや情報化が進み、情報と上手く共存するより良い世の中になっていくことを望む。
参考文献
1) 2時間でわかる 図解「IoT」ビジネス入門 小泉耕司
2) 総務省 平成30年版 情報通信白書
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/h30/html/nd142110.html
3) 個人情報保護委員会事務局